小さな失敗のすすめ

対面の単発レッスンならば、成功体験をお持ち帰り頂くのも大切かなと思います。しかしながら、半年に亘るオンラインレッスンならば、どれだけ沢山の失敗を受講期間中に体験して貰えるかと、その沢山の失敗を共に学ぶ仲間達と如何に共有できるかが、とても重要なポイントになってくると思っています。

さて、なかなか失敗が怖くて・・・と言う方に贈る言葉です。

私の得意分野は、水と熱の流れを同時に取り扱う研究で、土木分野だけではなく、シフォンケーキの焼成メカニズムの解明についても取り組んでいます。しかしながら、『解明』だなんて、音色と面構えは良いのですが、その中身は『小さな失敗』の繰り返しであり、もし『小さな失敗商店』があったならば、私は間違いなくそこの常連です。

 『上手く水が流れないのですが・・・』

『上手にケーキが焼けないのですが・・・』

 私の仕事は、お客様の代わりに沢山の小さな失敗をして(でも、比較的上手に、回数を少なく)、その知見を成果としてご提供する事を生業としています。

 かつての私がそうだったように、これまでは皆さんも失敗しない様に、失敗しない様にと言う環境の中にあったと思います。そういう親心があり、そういう教育がある背景を鑑みれば、それは致し方のない事です。けれども、いつからか皆さんの目の前にもやってきます。

 『絶対に失敗が許されない』という瞬間。

 これは、とても重圧に感じる状況です。しかしながら、我々がしくじらないコツは、十分な準備をする事です。それは、『予め小さな失敗を何度も何度も経験して、最大限の想像力をかき立てて、より大きな困難と向き合う事』に他なりません。致命的ではない小さな失敗を一杯繰り返し、もっと良くなろうと頑張っていたら、きっと良い事が起こります。必ずそういう世の中であって欲しいと私は思いますし、小さな失敗にも意味があり、無駄な事なんて何ひとつないのです。

 さて、今、皆さんが手にしているシフォンケーキ。『もっと美味しく焼きたい!』という私達の情熱の集大成で、小さな失敗を一杯繰り返して、ようやくここに辿り着きました。胸躍る日も、肩を落とす日も、生きていれば、色々あります。一生懸命生きているからこそ、人は小さな失敗をするのです。ただ、取り返しのつかない大きな失敗からは全力で逃げて下さい。しかしながら、向上心の隙間から時折顔を出す小さな失敗とは、是非是非、仲良く付き合って欲しいと願います。皆がそれを繰り返す事で、みんなの明日がきっと今日よりも良くなると思うのです。

 『良い事も悪い事も、起きる事ひとつひとつに意味がある』

~2019年、福井南高校の新入生に送るメッセージカードより抜粋~

#ほどけるシフォン
@snowcafe2015

お代を頂くようになると、盛大な失敗は命取り
理屈っぽく整理しながら、失敗することが大切