大学にいた頃、
『その研究の何が新しいのか?どれくらいオリジナリティに溢れてるのか?』
研究助成を申請する際には、必ず尋ねられた項目でした。そんな観点で眺めてみると、私のシフォンケーキは、
- 失敗が多くて安定して焼けないから、誰も焼きたがらない23cmの大きなサイズだった
- シフォンケーキは家庭菓子という先入観が浸透していた中で、贈答用にまで昇華させようと試みた
- 贈答用としての美観を高める為、シフォンケーキナイフを独自に開発して、綺麗な型抜きをデフォルトにした
- 膨張率の低いシフォンケーキが多い中、食感に着目して、膨張率の高い生地密度の低いシフォンケーキを焼き始めた
こんな所に新規性と独創性があったのではないかと、自己分析しています。ただ、自分が焼きたいケーキとお客様が喜んで下さるケーキは、必ずしも同じではなかったし、そのギャップを飲み込みながら、妥協していく作業は、ある意味難解でとても新鮮でした。
しかしながら、今。
私達が好きで大切にしているものを、同じ様に大切に思って下さる方がお店まで足を運んで下さり、
『美味しかったわ、ありがとう』
と召し上がって貰える世界は、大学から軸足を抜いたあの時には、とても想像できない景色でした。
ここは、善し悪しではなくて、好き嫌いの世界。好き嫌いの世界で繰り広げる新規性と独創性、研究者時代と同じくらい楽しませて貰っています。
『シフォンケーキと小麦澱粉の研究して下さいよ』
先日、そんな風に江別製粉の我孫子会長から仰って頂けた時には、すんごく嬉しかった。
澱粉って沢山あるんですけど、それらの種類に応じて、シフォンケーキの攪拌と焼成を最適化するテーマなんて、めっちゃ面白そう。

