四角いバターケーキのお話

私が所属していたお菓子な男子というグループに、パウンドケーキを上手に焼くおじさんがおりまして、サラリーマンなんですが、プロ顔負けの美味しいパウンドケーキを焼いていたんです。そんな訳で腕試しも兼ねて

『Snowcafeのバターケーキを出そう』

という試みが始まりました。しかしながら、本職の仕事を終え、それから工房にやって来て、夜な夜な焼き上げるパウンドケーキ。面白いケーキにならないと、絶対に勿体ないですよね?

『まだ誰も焼いたことのないパウンドにしよう』

そんな訳で、型を変え、レシピを変え、長らく試行錯誤を繰り返していました。

『パンの焼き型は使えない?』

そんな時に見つけたのが、5cm角のキューブ型。ワクワクしながら、その中にパウンド生地を流し込んでみたら、まさかの大失敗。とてもじゃないですが、5cm角のパウンド生地を食べ切ることができず、しつこくて女性のお腹には重すぎる、と言うことで初っ端から微塵と化して撃沈しました。

しかしながら、Snowcafeはシフォンケーキの専門店。メレンゲを使いこなして空気を入れることは得意です。独自の別立て法を採用して、もうパウンドケーキとは呼べない、とても軽い食感のバターケーキに仕上げてみました。外殻とクラムの食感のコントラスト、大きなサイズなのにあっさりと食べ切れる軽さと口溶けが特徴です。

結局、この四角いバターケーキを生み出すことには、かれこれ1年の時間を費やしました。レシピの数字にも、作り方の手順にも、ひとつひとつ貴重な実験結果が詰まっています。そんな実験結果を、この春始めて4名の生徒さん達にご披露をしました。目から鱗のポイント、ひとつひとつに感動を頂けたようで、お菓子な男子も、ちょっと満足。

0→1の人、1→10の人、10→100の人、社会はそれぞれ役割を持った人達で構成されています。どなたが欠けても、実は成立しなくって、互いを互いに尊重することが大切だなと思います(特性が違うので、なかなか相容れないけど・・・)。

シフォンケーキの新しいフレーバーに挑戦するのも、ある意味0→1でしょう。その際に、『理屈を知っていること』はとっても役に立ちます。シフォニストラボでは、オンラインでもオフラインでも、理屈っぽくシフォンケーキを教えるように努めています。その理由は、<Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)>、PDCAを回し始めた時、シフォンケーキを上手に焼き続けることが、とっても楽ちんになり、何れはどんなシフォンケーキも自分でデザインできるようになるからです。

シフォニストラボは、焼き菓子の作り方だけを教えれば良いとは思っていなくて、シフォニスト達には、その焼き菓子で何をするのか、それを常々忘れずに、ブレずに取り組んで貰えると、とても嬉しい。

ラネージュを焼きに来たレッスン生に、その誕生秘話を語るお菓子な男子
お菓子な男子特製限定パウンドケーキ
お店でお出ししているラネージュのプレート
試作中の四角いバターケーキ、型の素材で焼き上がりの違いを見る(エッジが命)
ラムレーズンのラネージュ、初登場のプレート