シフォニストの皆様
シフォンケーキを焼くまでの私は、計測機器で正確に計量し、定量化して、その『善し悪し』を判断する仕事に携わっていました。一方、シフォンケーキを作り始めたら、余り覚えのない経験をすることが、かなりの頻度で増えてきました。それは、ある保育士の方は
『もうちょっとお砂糖は控え目にした方が良いと思う』
と言い、また別の方は
『もうちょっと甘さが主張した方が良いと思う』
これに、私は混乱しました。
『え?何で?』
そう同じ砂糖の量なのに、善し悪しだけじゃ決まらない。そう、それは、
『好きと嫌いで片付けてしまわなければいけない世界』
ここには正解はありません。そして、善し悪しがありません。そんな訳で工学博士という、もう降ろせない看板を背負っている以上、
『この好き嫌いの世界では、私が善し悪しを軽率に語ってはいけない。誰かを傷付けるかも知れない』
そんな事を肝に銘じて、シフォンケーキを焼いています。
『シフォンケーキ好きの変人が、何か勝手にケーキを焼いて楽しそうにしている』
そんな仕上がりで、これまでシフォンケーキを焼いてきました。
シフォニストの皆さんは、どうぞ、自分の好きな美味しいと思うシフォンケーキを、一杯一杯焼いて下さい。
『自分の好きを同じ様に好きと言って、同じ様に大切に扱って、一生懸命、買って食べて応援してくれる人のこと』
をきっとお客様と呼びます。私は、そう思っています。
有り難い、とは有る事が難しいと書きます。普通のことではないんです。いつもこのシフォンケーキを求めて、近くから遠くからお越し頂き、誠に有り難うございます。本当に嬉しいです。




